前置きが長かったのですが、やっと本編に入る感じですね。
以前も申し上げましたが、ここで書くことは漕ぎ方のルールではありません。漕ぎ方は自由ですが...
既にシーカヤックやリバーカヤックなどのスクールでここで書いてあることと「違うことを教わった」と思われても、教える人や考え方も違うので、それもひとつの考え方だと思ってください。自分で理解し、自分に合った漕ぎ方を会得して、その中のひとつの参考になればと思ってます。
○フォワードストローク
前に進むための漕ぎ方で、最も基本的で簡単だと思われますが、最も重要な漕ぎ方のひとつで奥は深いです。
速く漕ぐことも必要ですが、レースではないので出来るだけ効率よく(楽に・そこそこ速く)しっかり漕ぐことが今回の目標です。
では具体的な話をしていきます。
効率よく艇を前に進めるために大事なことは、漕ぎ方自体も大事ですが、艇を「出来るだけ」前後・左右に揺らさないということです。
せっかくパドルで水をしっかりキャッチし、ストロークできたとしても、前後・左右に艇を揺らしてしまっては常に漕いだ力を左右に逃がし、前後のゆれにより艇でブレーキを掛けてる事になります。艇の長さがスピードに影響するのはこのためです。
とはいうものの、左右のパドルで同時に漕いでるわけではないし、パドルで前→後に漕ぐわけですから、どんなに理想的な漕ぎでも前後左右に揺れます。ですから「出来るだけ」で良いので意識をしてください。結構 大事なことです。
次に、さらに具体的な「漕ぎ方」について、ここでは2種類挙げておきます。覚えるのはどちらか1つで十分ですが、長い時間漕ぐ時は漕ぎ方を変えると疲れも軽減できますので、使い分けられた方が良いかと思います。
①てこを使った漕ぎ方
いわゆる普通のフォワードストロークで、だいたいのリバーカヤックスクールなどでは最初に習う漕ぎ方です。どんなカヤックにでも応用できる良い漕ぎ方です。
まず、水をキャッチした方の手(前に伸びた手・通称:引き手)を真っ直ぐ伸ばし次にキャッチする方の手(押し手)側をしっかり押します。通称、押し漕ぎとも言ったりもします。
押し手は耳の前ぐらいからバウ(艇の前方)方向に向かっておおむねまっすぐ押します。引き手は「押し」が終わってからブレーキにならないように軽く畳んで耳の前に持ってきます。すかさず反対側で次のキャッチをして後は繰り返しです。
体をあまり前後に動かさない程度で出来るだけ前の方をキャッチします。
疲労を最小限にし、力を入れるポイントにメリハリをつけて漕ぎます。 つまり、キャッチした方の手を引くよりも押す方の手を意識し、しっかり力を入れる(押す)ということで、パドルの移動距離は「ほんのわずか」ですが、てこを利用してるので、より小さい力で大きな推進力を得られることが出来、前後の艇のゆれが少なくおさえれれば、あとは惰性で進んでいき、パドルを押す重さは漕ぎ出しよりもだんだん軽くなってくると思います。
このとき、(というか、どんな時も)あまり手元を気にせず漕げるようになることを意識してください。
やや余裕があるようなら、引き手も畳むだけではなく軽く引いても良いですが、主役はあくまで押し手です。
②背筋など体全体を使った漕ぎ方
①とはまったく異なる考え方です。引き手でしっかり引いてきます。ただし、両方の腕は一切曲げません。肘を伸ばしたまま肩・腰で引いて、反対の肩で押します。例としては、「開かないドアを思い切り引っ張る時に腕を真っ直ぐ伸ばして足の力でドアノブを引っ張る」イメージです。
静水で行うカヤックレーシングや、ワイルドウォーターと呼ばれる川の一定区間を一気に漕ぎ下るような、キールラインがしっかりして直進性が強く、なかなか曲がらないような艇で有効に使える漕ぎ方です。フィッシングカヤックもほぼ同じような特性なので有効です。逆に旋回しやすい艇では真っ直ぐ進みにくいので使いにくい漕ぎ方です。
①の漕ぎと同様にパドルの移動距離は肩が前後に動くぐらいでしかないのですが、体の中でかなり筋力量の多い背筋・腹筋・胸筋を使ってアグレッシブに漕ぐことができます。背筋・腹筋・胸筋が付いてきて、漕ぎ方に慣れると腕の曲げ伸ばしよりかなり速くて楽です。腕を引く力と背筋力がどのぐらい違うのか量ったことがある人でしたら納得してもらえると思います。
①②といずれもパドリングと同じぐらい重要なのは足で蹴ることです。足で蹴ることによりダイレクトに艇に力が加わります。カヤックのストレッチャー(足で踏む部分)はこのために付いています。ストレッチャーの位置はややひざを曲げた楽な姿勢になる位置が標準的です。(②の漕ぎ方の場合は若干足を伸ばした状態の方が腰から動けます)
蹴るのは通常、漕いでるほうの足を蹴ります。つまり、右の水をキャッチしてたら右足で蹴ります。
艇を真っ直ぐ進める場合はどっちでも良いので、とにかく蹴ることが大事です。
次回で説明しますがターンする(艇の向きを変える)時にも漕いでるほうの足を蹴りますので、常に漕いでるほうの足を蹴るように心がけると体が覚えやすいです。
※フォワードストロークの時に逆足で蹴る方法もあるのですが、難しいわりに効果も微妙なので割愛します。
「効率的に漕ぐ」と言うと体を前傾して前の方からキャッチし、後傾するまで引ききるイメージがあるかもしれませんが、以上の説明でこれが「ちょっと間違いである」ことが分かっていただけたかと思います。前傾、後傾するとストロークは長いので、漕いだ瞬間はとても速いですが、前後の揺れが大きく艇の進みに伸びが無くなるので長い時間漕ぐには効率が悪く疲れる漕ぎ方なんです。
①の漕ぎ方と②の漕ぎ方を組み合わせることも出来ますが、まずはそれぞれを使い分けてみてください。
どうでしょうか?図解しないで分かってもらえるでしょうか??
図を追加した方が良さそうですね。暇な時があったら考えます。(絵は下手なので)
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